ドラム式の糸くずフィルターと排水フィルターの違い|掃除の頻度と詰まり

ドラム式の糸くずフィルターと排水フィルターの違い|掃除の頻度と詰まり

ドラム式洗濯機には、掃除が必要なフィルターが複数あります。「糸くずフィルター」と呼ばれるものと「排水フィルター」と呼ばれるもの、そして乾燥に使う「乾燥フィルター」。名前が違うので別の部品のように見えますが、実はメーカーによって呼び方が違うだけのものと、まったく役割が違うものが混ざっています。この記事では、長野・松本で洗濯機の分解洗浄を行う洗濯機分解ドットコムが、どれがどの部品なのか、掃除の頻度がメーカーでどう違うのか、詰まると何が起きるのかを、各社が公開している手順に沿って整理します。

「排水側」と「乾燥側」で役割がまったく違う

まず押さえたいのは、フィルターは通っているものが違うということです。

▶ 排水側のフィルター
洗濯で出た糸くずやゴミが、水と一緒に流れてくるところで受け止める部品です。メーカーの手順では、まず「糸くずフィルターカバー」を開けて取り出すことになっています。カバーの位置や形状は機種によって異なるため、お使いの機種の取扱説明書でご確認ください。

▶ 乾燥側のフィルター
乾燥運転のときに、衣類から出たほこりや糸くずを空気の流れの中で受け止める部品です。日立は乾燥フィルターについて「乾燥フィルターがある機種は、乾燥後に衣類の糸くずやほこりが付着します。毎回お手入れが必要です。フィルターが詰まると、乾燥時間が長くなったり、乾燥むらが生じることがあります」と案内しています。なお同社は、乾燥フィルターを搭載していない機種は自動おそうじで洗い流すためお手入れが不要だとも説明しています。

つまり「乾きが悪い」なら乾燥側、「排水が遅い・においがする」なら排水側、と見る場所が変わります。乾燥側の目詰まりについてはドラム式洗濯機が乾かない原因|ヒートポンプの目詰まりとお手入れで詳しく解説しているので、この記事では排水側を中心に扱います。

同じ部品でもメーカーで呼び方が違う

ここが混乱のもとです。ドラム式では、排水側のフィルターを日立とシャープは「糸くずフィルター」、パナソニックは「排水フィルター」と呼んでいます。ネットで調べたときに用語が食い違って見えるのは、多くの場合この呼び方の違いによるものです。

なお、縦型の「糸くずフィルター」は槽の中にある別の部品です。同じ名前でもドラム式と縦型では付いている場所が違うので、機種の形式(ドラム式か縦型か)から確認してください。

ただし、形も位置も機種によって異なります。日立も糸くずフィルターについて「形状は機種によって異なります」として取扱説明書を確認するよう案内しています。この記事の説明で手を動かさず、必ずお使いの機種の説明書に沿って進めてください。

なお、洗濯機の外にある「排水口」はさらに別物です。こちらは床側の設備で、掃除の考え方も変わります。詳しくは洗濯機の防水パン・排水口の掃除方法をご覧ください。

掃除の頻度もメーカーで違う

呼び方だけでなく、掃除の間隔として案内されている数字も一致していません。従うべきはお使いの機種の取扱説明書ですが、各社の公開情報では次のように分かれています。

▶ 日立
排水口のお手入れを説明したページで、汚れを防ぐ方法として「糸くずフィルターは洗濯後、毎回お手入れをしてください。」と案内されています。あわせて、糸くずフィルターのページではお知らせ表示は洗濯機を15回運転するたびに出る(機種によっては15回以上)とされ、表示部に「フィルター確認」「糸くずフィルター」などが出たらお手入れするよう説明されています。ごみが詰まっていれば運転回数が上限未満でも表示され、乾燥運転の使用頻度が多いと糸くずがたまりやすいため早めに表示が出ることもあるとされています。

▶ パナソニック
パナソニックが洗濯機のお手入れについて公開している案内では、排水フィルターは「週1回程度」と、「排水フィルターお手入れサイン」が表示されたときが目安として示されています。

「毎回」と「週1回程度」では、ずいぶん印象が違います。どちらが正しいという話ではなく、機種の構造と表示のしくみが違うということです。迷ったら、お使いの機種の説明書と本体の表示に従ってください。

詰まるとどうなるか

放っておくと、症状は洗濯機の中だけにとどまりません。

日立は糸くずフィルターについて「糸くずフィルターに糸くずがたまったまま運転すると、洗剤液がフィルターを通過しにくくなり、排水がうまくできなくなる原因になります。」と説明しています。シャープはドラム式のお手入れページで、「UF」「E03」を表示しているときは糸くずフィルターが詰まって排水できないおそれがあるとしています。この2つに関しては、エラー表示は故障のサインというより、「先にここを見てください」という案内だと考えたほうが実態に近いです。ただし表示によっては運転そのものが止まります。同社は、フィルターが入っていなかったり緩んだまま使用すると水漏れをしたり「E31」を表示して運転できないとも案内しています。

さらに、排水がうまくいかない状態は洗濯機の外にも影響します。日立は排水口について「排水口にごみが溜まると、水の流れが悪くなり、においがしたり、乾燥時間が長くなる(乾きがわるい)、排水ができないなどのさまざまなトラブルが起きます」と説明し、排水口の汚れを防ぐ方法として糸くずフィルターのお手入れと槽洗浄を挙げています。フィルターの掃除は、床下の排水口を守る作業でもあるということです。

外す前に必ずやること・やってはいけないこと

排水側のフィルターは、いきなり外すと水が出ます。ここは各社とも強く注意している部分です。

▶ 先に残った水を抜く
日立は手順の最初に「脱水のみ1分間運転し、残水を排水する」を置き、「ドラムや排水ホースに残水があると、糸くずフィルターを外したときに多量の水が出てきます。」と説明しています。シャープも「糸くずフィルターをはずす際、本体の内部に残っている洗濯水があふれ出てくることがあります」として、脱水運転で排水してから外すよう案内し、つまみを少しずつゆるめながら水を出す手順を示しています。同社は準備として蛇口を閉めて本体のドアを開けておくこと、洗面器などの水受けと乾いたタオルを用意することも挙げています。給水側を止めてから始めてください。

▶ 電源を切る・奥に手を入れない
日立の手順では、カバーを開ける段階で電源を切るよう指示されています。差し込み部の汚れについては「奥まで手を入れるとけがのおそれがあるため、奥にある汚れは歯ブラシなどでお手入れしてください。」とされています。どうしても取れない汚れは、販売店や修理相談窓口へ点検を相談するよう案内されています。

▶ ゴムパッキンに洗剤や漂白剤をつけない
汚れが残るときは、約40度のお湯に薄めた漂白剤(酸素系または塩素系)で突起の部分だけを浸してこする方法が日立から案内されていますが、「ゴムパッキンが水に付かないようにしてください。」「ゴムパッキンに塗布されている潤滑剤を洗い流してしまうと、糸くずフィルターが取り付けにくくなります。」という注意が添えられています。きれいにしようとして丸洗いすると、かえって取り付けにくくなるということです。

▶ 戻すときは締め付けまで確認する
シャープは取り付けについて、奥に当たるまで差し込んでつまみを最後まで確実に締めるとし、締め付けが悪いと水漏れの原因になると注意しています。さらに、フィルターが入っていなかったり緩んだまま使用すると水漏れをしたり「E31」を表示して運転できないとも案内されています。日立の機種では「カチッ」と音がするまで回す、フィルターに「ウエ」マークがある機種もある、といった指定があります。

日立はさらに、水漏れの原因になるとして、洗い終わったらゴムパッキンが外れていないか、取り付け部やゴムパッキン部に糸くずなどが付着していないかを確認するよう案内しています。フィルターやゴムパッキンが破損している場合は、水漏れや故障の原因になるためすぐに取り替えるようにも書かれています。外すときより戻すときのほうが事故につながりやすいので、最後の確認まで手を抜かないでください。

掃除しても戻らないときに疑うところ

フィルターを毎回きれいにしているのに、においが取れない・排水に時間がかかる——という場合、原因はフィルターの手前や奥にあることがあります。ドラム式のにおいはパッキンや排水口など複数の場所が絡むため、切り分けの手順はドラム式洗濯機が臭い原因と自分でできる対策にまとめています。市販のクリーナーでどこまで落ちるかは洗濯槽クリーナーの塩素系と酸素系の違い|効果の限界をご覧ください。

洗剤の通り道が原因のこともあります。自動投入の機種は洗剤自動投入タンクの掃除もあわせて確認してください。

それでも変わらないときは、フィルターでは受け止めきれなかった汚れが槽の裏側やその先にたまっている可能性があります。実際に分解して何が出てくるのかはビフォアフター事例でご覧いただけます。分解洗浄の内容はドラム式洗濯機の完全分解洗浄のページにまとめています。

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作業は清掃業界26年の工藤が担当し、作業前後の写真をお見せしてビフォアフターをご報告しています。なお、当店が行うのは分解しての洗浄で、部品交換や本体の修理はメーカー・販売店の領域です。「掃除で戻る汚れなのか、修理が必要なのか」の切り分けからご相談いただけます。料金の内訳と追加費用の条件は料金詳細ページをご確認ください。

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